内視鏡診断学

消化器内視鏡診断学の基本は「よく見る」ことでありまして、病変を「よく見て」病理像を想像することであります。まず病変の見つけ出しすなわち存在診断を行い、次に質的診断を行います。つまり腫瘍性病変か非腫瘍性病変(炎症性病変)かを診断し、腫瘍性病変なら腺腫か癌かを診断します。そして癌であれば量的診断に移ります。それは癌の深さと側方への広がりを診断します。癌の深さにより、内視鏡治療か外科治療かが決まり、癌の範囲診断で切除範囲が決められます。

 


よく見るために内視鏡機器が進歩し、内視鏡診断学も進歩してきました。よく見るための方法論は大きく2つあり、一つは病変を拡大することであり、もうひとつは特殊な光で見るということです。拡大観察の先鞭をつけたのは30年位前に大腸病変の腺管開口部形態を分類して診断のよりどころにしたことに始まり、15年位前から低周波数の光による検査が行われるようになってきました。この光は病変の毛細血管、表面粘膜模様をよく見ることが可能であります。当院も特殊光検査が可能なデジタル画像強調処理で病変を映し出す最新のハイビジョン内視鏡システムを導入しました。経鼻内視鏡でもこのシステムが実現されたのです。これによりごく小さな早期癌の追求して参ります。



あと内視鏡診断学という学問の側面の他に、内視鏡検査は技術であり、苦痛のない安全な検査を要求されます。